一般社団法人日光青年会議所
2025年度 理事長所信
理事長 阿部 裕太
「あなたの暮らすまちからJCがなくなると、どうなると思いますか?」
この問いを聞いたのは、2017年度全国大会での卒業生代表スピーチでした。当時の私は、それに何も答えられなかったことを今でも鮮明に覚えています。しかし、それが私の挑戦の始まりとなり、その後様々な役職を引き受け、今日まで走り続けるための原動力となりました。そうしてJC活動を続ける中で、私は次第に私たち青年会議所の存在意義について深く考えるようになりました。
青年会議所運動の本質は、地域社会の持続的な発展を支える仕組みを創り出すことです。単なる一度限りの事業ではなく、地域に希望をもたらし、長期的な成長を目指す変革の起点となることが私たちの使命です。その結果として「社会により良い変化」をもたらすことができます。
現代社会には、少子高齢化や人口減少、エネルギー問題、ジェンダー問題など、多くの課題が存在します。しかし、これらの課題が存在するということは、私たち青年会議所が活躍できる場がまだまだ多くあることを意味しています。地域の課題に真摯に向き合い、解決へのムーブメントを起こすことで、地域社会をより豊かにしていけると信じています。
最初の一歩は小さな波紋を起こすだけかもしれませんが、メンバー一人ひとりが同じ方向を向き、行動すれば、その波紋はやがて大きな波となり、社会に変化をもたらすでしょう。私たちは青年として、地域のリーダーとして、理想を掲げ、前進し続けます。理想を持つから情熱が生まれ、人を巻き込むことができます。多くの人々を動かし、さらなる大きな力となって、私たちの理想を実現する道を切り拓いていくのです。
【成長を実感できる組織運営】
「青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供する」
これが青年会議所の使命です。そして、そのためにメンバーが成長を実感できる組織運営が不可欠です。
私たちメンバーは、家族を大切にしながら、日々の仕事に取り組む忙しい毎日を過ごしています。それでも、明るい豊かな社会の実現を目指して、共に活動しています。だからこそ、他人から与えられた目標ではなく、自らの想いから生まれた目的に向かって全力で挑み続けることが大切です。その挑戦を通じて、これまでの自分では想像できなかったような「新しい自分」との出会いを楽しみ、成長を実感できるような組織運営を目指します。
成長を実感できる組織であれば、メンバー一人ひとりが自信と誇りを持つことで、理論ではなく、心からの想いで語りかけることで、より多くの人々が共感し、新たな仲間が集います。こうして、青年会議所は地域社会だけでなく、社会全体に対する大きな貢献を果たしていくことが可能となります。このような取り組みにより、日光青年会議所は地域を超えて広範な社会から必要とされ続ける組織であり続けます。
【持続可能なまちづくり】
私たちの日光市は、歴史と自然が調和した豊かな地域です。2006年、行政の効率化、財政基盤の強化、地域資源の一体化、そして人口減少対策を目的として市町村合併が行われました。しかしながら、合併後も地域全体での連携が十分に活用されていない部分が見受けられます。広大な地域であるため、各地域が独立して発展していくことは難しく、地域の強みを最大限に活かすためには、さらなる工夫が求められます。地域資源を一体的に活用し、地域の活性化を目指すための継続的な検討と戦略的な取り組みが不可欠です。
このような状況を改善し、地域の活力を取り戻し、持続可能な未来を築くためには「地域間の連携」が鍵となります。今後は、各地域が単独で活動するのではなく、互いに協力し合うことが求められます。合併した各地域がそれぞれの強みを活かし、連携を深めることで、地域全体の魅力をさらに高めることが可能です。また、各地域の文化や伝統を尊重し、相互に交流を促進することで、一体感を持った取り組みを推進することができます。
地域が互いに連携し、地域資源や経済の循環を行い、持続的な発展を実現することが必要です。地域全体が力を合わせて強化し合い、地域の歴史や伝統を大切に守りながら、観光の分野でも競争力を高め、「ともに勝ち抜くまち」として成長することを目指します。
持続可能なまちづくりにおいては、市民一人ひとりが主体となり、共に協力し合うことが最も重要です。地域社会の発展には市民の積極的な参加が不可欠であり、そのための巻き込み力やつなげる力を発揮するのが青年会議所の役割です。青年会議所は、若いリーダーたちが中心となり、新しいアイデアや事業を通じて地域を活性化させる核となります。行政、企業、市民が一体となり、共に地域の未来を描いていきましょう。
【時代に即した継続事業】
価値観が多様化する現代において、従来のやり方が必ずしも通用しない場面が増えてきました。特に、地域社会をリードする団体として、これまでの経験や過去の教訓を尊重しつつも、時代の変化に対応した新たな挑戦に積極的に取り組むことが必要不可欠です。その際、既存の枠組みに固執することなく、柔軟な発想で常識を再評価し、時にはそれを疑う姿勢を持つことが求められます。このような姿勢が、組織の持続可能な発展を支える鍵となります。
昨年度、ライトアップNIKKOが30周年を迎えることができました。この事業は、先輩方の想いを受け継ぎながら、日光市の豊かな歴史と美しい自然を最大限に活かし、観光客に新たな体験を提供するものです。ライトアップNIKKOは、地域全体の魅力を再発見させ、持続可能な観光の促進にも大きく貢献しています。
しかしながら、長く続けてきた事業であるがゆえに、その継続のあり方について改めて検討する必要があります。私たちが考えるべきことは、単に事業を「続けること」ではなく、「どのようにして続けるか」という視点です。これまでの成果を振り返り、その意義を再評価しつつ、現代のニーズに応える新たな方向性を見出すことが重要です。現状に満足せず、常に問い続ける姿勢こそが、事業のさらなる成長と発展を促します。
また、事業を取り巻く環境は時代とともに変わっていくため、その変化に対応できる柔軟性を持ち続けることが不可欠です。例えば、事業のルールや組織体制が現状に適しているかどうかを定期的に見直し、必要な変更を施すことで、私たちはさらなる革新を追求することができます。このように、過去の実績を大切にしつつも、未来志向で新しいアイデアを取り入れることが、ライトアップNIKKOのような事業を次の世代に繋げ、発展させる最善の道であると確信しています。
ライトアップNIKKOは、単なる観光イベントとしての枠を超え、地域全体の活性化や住民の誇りの形成にも寄与してきました。これからも私たちは、観光客だけでなく地域社会全体にとって意義のある取り組みを進めていくとともに、持続可能な発展を目指していきます。
【組織力の向上】
日光青年会議所は、設立以来、先輩方の高い志と確固たる信念を受け継ぎ、規律ある組織として成長を遂げてきました。メンバー一人ひとりが、その歴史と誇りを胸に、互いに支え合いながら、地域社会への貢献に全力を注いできました。しかし、考え方や生活様式が多様化しつつある今、これまで以上にメンバー同士の絆と信頼関係が試される時代を迎えています。同時に、世代間のギャップや価値観の違いが、これまで以上に顕在化し、相互理解が求められるようになっています。
今こそ、私たちはこれまで築き上げてきた強固な基盤をさらに強化し、メンバー全員が一丸となって力を合わせることが求められています。私たちは単なる組織ではなく、深い信頼関係で結ばれたチームとして、互いの信念や価値観を尊重し合い、共に未来を切り拓いていく必要があります。多様な背景や意見を持つメンバーが、互いに刺激し合い、高め合うことで、個々の成長が組織全体の進化につながり、さらなる団結力を生み出します。このような結束のもと、私たちは地域社会に新たな価値を提供し続け、常に前進していくことができるのです。
2026年には、日光青年会議所は設立15周年を迎えます。この重要な節目に向け、さらに信頼関係を築き、組織基盤を強化するために、定期的な会員交流が欠かせません。先輩方との交流や近隣の青年会議所との連携を深めることで、組織内外のコミュニケーションを活性化し、さらなる発展を目指します。
私たちは、限られた時間の中で活動を行っていますが、メンバーそれぞれが「時間」に対する価値観を共有し、相手を思いやることが一層重要です。常にお互いを支え合い、笑顔で協力できる組織を創り上げ、より強固な団結のもと、今後も日光青年会議所の発展に努めてまいります。
【結びに】
青年会議所は「自分のものさしを広げる訓練」の場だと教えられました。各メンバーにはそれぞれの入会動機がありますが、地域や日本についていきなり真剣に考えろと言われると、難しく感じるかもしれません。それは「自分ごと」として捉えられていないからです。しかし、もしそれを自分ごととして捉え、理想を描く範囲が広がれば、視点が変わり、意識が変わり、行動が変わるでしょう。
企業や地域を変えることも、最終的には「自分を変えること」の延長線上にあると私は考えています。
まず自らを律し、意志を持って人生を切り拓くことが重要です。
社会に良い変化をもたらす答えは、きっとあなたの心の中にあります。
自らの可能性を信じ、青年会議所の可能性を信じて理想を掲げる。
一人ひとりが誰かのために行動しその積み重ねが連鎖する。
その一歩が、あなたを変え、地域を変えることにつながる。
「JCがある限り、私たちのまちは進化し続けます。」
理想を掲げ、心に宿るワクワクを信じ、共に挑戦する1年を描いていきましょう。